私はもっと近づいてみた。

家まであと50m。走れば8.7秒。

でも、あえて走らずにゆっくり忍び足で歩いた。

ハタからみたら変な子と思われてるだろうなぁ・・。


そして家の前に立ってた人がこっちをむいた。


私は一瞬、石のように固まった。


「・・沙都・・ちゃん・・?」


りょっ、諒っ。松浦諒っっ!


な・・なんでここにーーーーっっっ。


「おかえり、沙都ちゃん」

そして諒はこっちに向かって歩いてきた。

私はあまりの緊張で体がカチコチだった。

「あ・・の?」

やっと発せられた言葉がコレだった。

「今帰り?」

そう聞いてきた諒は私と同じ高さまで腰を下ろした。


正面には諒の顔・・。