「ねぇセンセー」
「なんだよ」
メガネの奥の瞳が少し曇る。
「好きなんだけど」
毎日のようにこうやって言ってきた。
だけど、こんなふうに想いを伝えられるのも今日で最後になるかもしれない。
そう思うといてもたってもいられなくっていつになく真剣に伝えるとセンセーは目をそらした。
「知ってるよ。いっつも言ってんじゃん」
ケラケラと笑ってちゃかす。
くやしい。
こうやっていつだってはぐらかす。
くやしい。
こうやって大人であることを見せつける。
確かに、センセーからしたら私は子供。
だけど、今日こそは真剣に伝えてるこのキモチまではぐらかしてほしくない。