ドアの前で胸に手を当てて軽く息を整えながら、目の前の小窓からそっと中をのぞく。

いた!

この3年、ずっと想い続けた自分の勘にグッジョブ。

小さくガッツポーズをする。


その人はこちらには今背中を向けている。
この教室は日当たりがいいから、おひさまが当たっていてその人の輪郭が少しだけぼんやりとしている。

だけど、紛れもなくあの人の後ろ姿だ。

こうやって何度となくこの小窓から姿を確認してきた私が間違えるはずなんかない。

こんな日にも白衣。
あの人らしい。

「オレは式に出席しねーんだもん。かしこまったカッコーなんかするかバカ」って言いそうだ。


やっぱりいた。いてくれた。

そんなことを言えば「だからお前のためにここにいたワケじゃねーし」って意地悪く笑いながら返されるんだろうな、きっと。