「大学でメガネかけるカレシつくれば?あー理系のオトコつかまえればいんじゃね?白衣着てメガネのオトコいっぱいいんぞ~。選び放題じゃん、よかったなー」

意地悪いカオをして私を見る。

くやしいくやしいくやしい。

自分がそう言ったとはいえ、こんなふうに意地悪く言われるのがたまらなくくやしくてかなしい。

せっかく笑っていようって思ったのに、私は泣いてしまった。

センセーはこぼれ落ちる涙を白衣の袖でやさしく拭ってくれた。


「お前、そんなにオレのこと好きなワケ?」

コクリと小さくうなずく。

「だから言ってんじゃん」

「ふ~ん」

そう言うとおもむろにセンセーは白衣を脱ぎ出した。
白衣の下はセーターだった。

「え、どうしたの?」
「いや、白衣脱いだらフツメンに見えんじゃねーかなと思って」
「は?」
「”は?”言うな、バカ」

そして、今度はメガネをはずした。

「ヤバイヤバイヤバイ」

メガネの時も充分かっこいい。
けど、メガネをかけてないセンセーはお世辞抜きにもっともっとかっこよかった。

「あ?どうヤバイって?」
「ありえないくらいヤバイ。メガネ抜きにかっこいい!」
「……あっそ」

センセーは小馬鹿にしたように言い捨てた。