「センパイ」
「ん?」
「あのですね」
「うん」
「えっと」
「うん」
「……はぁ~」
あと、たったひとつ。
一番伝えたい想いをクチにするのは本当にむずかしい。
「今から本当にマジメなことを伝えさせてください」
「……オレがどうしてもきかなきゃいけないこと?」
圭太センパイは遠くを見たまま、まるでききたくないかのようなことを言う。
どうしてそんな言い方するんですか。
「きいてください」
また泣きそうになるのを私は必死にこらえた。
「わかった」
「じゃあ、言います」
「……」
「センパイのことがずっと好きでした。センパイのカノジョにしてください」
緊張が伝わるくらいの震える声になってしまったけれど、ちゃんと言いたいことを伝えることができた。
だけど、圭太センパイの反応はない。
足元の芝を足で踏みしめたりしてる。