10分後、圭太センパイが部屋に入ってきた。
「ごめんなぁ」
「いえいえ」
わわ、近い近い!近いよぉ~!
圭太センパイは私の隣に座る。
剣道部のみんなでなんどもカラオケはきたし、その時に隣同士になって、すごい距離が近いことはあったけど。
だけど、まだまだ数人は座れる部屋にふたりきりでよりによってピッタリ座るのは、心臓によくないよぉ!
「合格祝い」
圭太センパイはテーブルに包装紙にくるまれたコロンとした小さめの箱を置いた。
「ん?」
「だから、合格祝い」
「へ?私にですか?」
「うん」
「え~~~」
「よかったらもらって?」
「いんですか!」
「いいに決まってんじゃん」
「わぁ~、ありがとうございます!」
「よかったら使って?」
「はいっ!あけてもいいですか?」
「もちろんっ」
包装紙をきれいにあけて、中から出てきたのは淡い緑の箱。
もしかして!
やっぱり!
箱から出てきたのは、さっき圭太センパイが私にかがせてくれた中で一番好きだったグリーン系の香水。
「ありがとうございます!」
うわぁ、涙出そう。
うっすら浮かんでくる涙がこぼれないように、それとなく横を向く。