バイクを押す圭太センパイと並んで歩く。
ウチの中学まではここからだとちょうど10分くらい。
大きな通りから一歩入ると、住宅街でその中に長い坂道をのぼりきった場所が川田市立中央中学校。
私たちの母校。
「よし、神崎。メットかぶって」
ん?
住宅街に入って、時々ガッコーを行き来する生徒以外の人通りはなくなると、私にそう指示をする。
とりあえず言われるまま、私はヘルメットをかぶった。
圭太センパイはバイクにまたがる。
「神崎、後ろ乗れ」
「え?2人乗りできるんですか?」
「なワケねぇじゃん」
「えぇ!じゃあ、ダメですよ~っっ」
「あの坂道、そのくつでのぼるのきつくね?」
確かに履き慣れていないパンプスは、もうすでに足の裏や指先が痛くなっていた。
そんなことに気づいてくれるなんて。
世界中のみんなに叫びたい!
『私の好きな人は本当にやさしいんです!』
「そのかわり、誰にも言っちゃダメだからなっ」
圭太センパイは、左の人差し指をクチの前にで立ててナイショポーズ。
そして、ニンマリ。
「はい、ヒミツですっ」
私も右の人差し指でおんなじジェスチャーをして、お互い目を合わせてニンマリ。