「神崎、ちょっと待って」
ドラッグストアを出ると、買物袋を地べたに置いて駐輪場に向かう圭太センパイ。
え?
えええ!
シルバーのバイクの横に立ってキーをセットして、エンジンはかけずに押しながら戻ってきた。
「え~~~!圭太センパイ、バイク乗るんですか?」
「おう」
圭太センパイはニヤリと笑って、
「ホントはウチの高校、免許もとっちゃダメだからな」
「えー!圭太センパイ不良だあ!」
「別に不良じゃねーよ。みんな隠れて乗ってる」
「そうなんですか~」
「だから、ガッコーにはナイショだぞ」
わぁ~、圭太センパイとナイショ!
うれしいなぁ。
「はい!ナイショですっ」
「そ、ナイショ」
私が口元をおさえながら言うと、圭太センパイもニヤニヤしながらマネる。
「じゃ荷物入れよう」
バイクのシートを開けると、ヘルメットが入っていて、
「神崎、これ持ってて」
ポイッと投げるようにして、私に渡した。
ナイスキャッチ。
「はぁ~い」
そうして、買った飲み物をバイクのシートの中に入れた。
「神崎ごめんな、メット持ってて」
「はぁい」
圭太センパイから持たされたヘルメットはシルバーカラーでゴーグルのついたかわいいヤツだった。