「で~きた!」
由実ちゃんが私のカオをしげしげと見て、やがて満足そうにうなずいた。
約束の時間は11時。
ただいまの時刻は10時28分。
30分前に仕上がりました。
「見てみな」
そう言って、由実ちゃんはドレッサーの前に私を引っ張る。
「わぁ~……」
鏡に映る私は大げさだけど別人みたい。
自分でも大満足の出来栄えだった。
「ありがとう!!」
うれしくてうれしくて、思わず由実ちゃんに抱きついた。
アイボリーの膝上のレースワンピースに淡いピンクのショート丈のトレンチコート。
アクセサリーはお花のイヤリングとおそろいのペンダント。
ヒール低めのパンプス。ケイトスペースのハンドバッグ。
ぜ~んぶ由実ちゃんから借りたモノ。
レギンスかタイツを履こうとしたら「そんな色気のないカッコーはダメ」って由実ちゃんからダメ出しされた……。
ヘアメイクも由実ちゃんがしてくれた。
メイクはせいぜいグロスつけたりまゆ毛そろえるくらいだけど、今日はバッチリ。
由実ちゃんいわく「ドーリーメイク」らしい。
髪も初めてコテで巻いてもらって、低めのツインテール。
自分でいうのも恥ずかしいけど、ホントにお人形サンみたい。