教室内には、他に誰もいなかった。
環くんで最後だったのかな。
……ずっと、不思議に思っていた。
どうして、環くんはいつも一人でいるのか。
仲良くなって、さらに不思議に思った。
単純に一人が好きだからだと勝手に推測していたけど、本当にそうなのかな。
時折、環くんの儚げな表情を見ると、特別な理由が潜んでいる気がしてならない。
もし、環くんが何かに苦しんでいたら、今度はわたしが環くんを助けたい。
「そういえば」
「なに?」
「友達、できたんだね」
環くんは温和な表情で、わたしを見つめた。
「うん!環くんのおかげだよ」
右手で左手をぎゅうっと包む。
もう、左腕で傷ついたりしない。