そして、わたしは別れ際にもう一度依世ちゃんにお礼を伝えて、依世ちゃんと別れた。
依世ちゃんの家である美容院を去り、帰り道をたどっていく。
空は、オレンジ色と深い藍色のグラデーションに彩られていた。
すっかり遅くなっちゃった。
おばあちゃんとおじいちゃんには友達の家に寄ることを伝えてなかったから、心配してるかも。
早く帰らなきゃ。
人気の少ない道を、早足で進む。
“あのときの少年”と会った小さな公園の近くまで来た、瞬間。
風が横切って、切ったばかりの前髪をさらった。
その風に逆らうみたいに、風が吹いてる方向とは逆の方向に視線をずらす。
「あ……」
視界に入った公園に、一つの人影を見つけた。
あれは、環くん……?