すぐに、わたしに向けられていた視線や話し声が、消えていった。
依世ちゃんの真っ直ぐな影響力が、消してくれたんだ。
「依世ちゃん、ありがとう」
わたしが涙ぐんだ声で、感謝を紡ぐ。
依世ちゃんはニッと微笑んだ。
それから依世ちゃんは、空いてる席にわたしを案内した。
慣れた感じでシャンプーもしてくれた。
濡れた髪を、ドライヤーで乾かし始める。
「依世ちゃん、本当に器用だね」
「いやいや、まだシャンプーしただけだよ?」
「でも、すごく丁寧で気持ちよかったから、依世ちゃんはきめ細かくて器用だなって思ったの」
素直に思ったことをそのまま口にした。
依世ちゃんは照れたのか、少し遅れて「ありがと」と呟いた。