やはり、わたしの左手では、依世ちゃんの体温を感じ取れない。
けれど、依世ちゃんの力強い覚悟は、伝わってきた。
依世ちゃんは、すぅ、と息を吸うと、
「お母さんもお父さんも、お客さんたちも!」
その息を吐き出すように、声を張り上げた。
「あたしの友達を侮辱するのはやめてよね!!」
どうしようもなく、心が震えて。
泣きたくなった。
わたしのことを想って、全力で怒ってくれる人がいる。
離れていく手を握って、引き止めてくれる人がいる。
そのことを改めて教えてくれたのは、わたしにはもったいないくらい素敵な友達。