来ちゃ、まずかったかな。
わたしがここにいたら、お店に迷惑がかかるんじゃないの?
わたしが来たことで、お客さんが来なくなったらどうしよう。
ネガティブ思考が、止まらない。
帰ったほうが、いいかもしれない。
依世ちゃんを学校だけでなく、家でまで苦しませたくない。
「依世ちゃん、わたし帰……」
帰るね、と言い終えることも許さずに、依世ちゃんの右手がわたしの左手を掴んだ。
「帰らないで。まだ、前髪切ってないでしょ?」
「……い、よちゃん」
依世ちゃんのブレない瞳は、強く輝いていた。
依世ちゃんがかっこよく映って、気づく。
もしかしたら、わたしは、
未だに不透明な頑張り方を
間違えてしまったのかもしれない。