加速する鼓動の音は、苦しいのに、苦しくなくて。
この矛盾が、心地いい。
やっぱり、わたし、環くんのこと――。
「じゃあね莉子ちゃん、咲間さん」
「うん、またね環くん」
「バイバイ、皆瀬くん」
手を振って背を向けた環くんに、手を振り返す。
環くんがいなくなっても、心臓は締め付けられたままだった。
「……ふーん」
「い、依世ちゃん?」
なぜか、依世ちゃんがニヤニヤしながら見てくる。
その目は、何?
「そういうことだったんだ~」
「何が?」
「あとでゆっくり聞かせてもらうからね」
「だから、何が??」
頭上に「?」をたくさん浮かべてるわたしをよそに、依世ちゃんは詳しく言わずに一人で納得していた。