あっという間に、放課後になった。
前までは、時間がもっと長く感じていたのに。
前に進めてる証拠なのかな。
「莉子、帰ろ!」
「うん」
荷物を詰め込んだカバンを片手に、依世ちゃんと教室をあとにした。
最近は、教室にいるときよりも、廊下を歩いてるときのほうが、尖った視線で貫かれる。
バケモノだとか、不気味だとか。
そんな噂話も、わざと聞こえるようにささやいている。
それらはおそらく、わたしだけじゃなく、わたしの隣にいる依世ちゃんにも嫌な思いを植え付けている。
それでも、依世ちゃんは嫌な素振り一つせずに、わたしと並んで歩いてくれた。
「ん?あたしのことじぃーっと見て、どうしたの?」