依世ちゃんのとは正反対の、目元が隠れるくらい長い、わたしの前髪。
周りの刺々しい視線を遮るために、伸ばしていた。
この前髪をサイドに流してピンで留めたり、短く切りそろえたりしようとは一度だって思わなかった。
だけど、それはあくまで、今までの話。
今は、違う。
「邪魔かも」
吹っ切れた顔つきで、はっきりと答えた。
もう、隠す必要、ないね。
「……切ろう、かな」
指先で前髪をいじりながら、ポツリ、呟いた。
すると、依世ちゃんが食いついて、前のめりになる。
「それなら!」
「?」
「いっそ、オンザにしてみない?あたしとおそろい!」