環くんのときもそうだったけど、名前呼びされると距離が急激に縮まったみたいで、くすぐったくなる。
依世ちゃんと友達になれてよかったな。
ひとしきり笑ったあと。
依世ちゃんは、再び口を開いた。
「実は、もう一つ思ってたことがあるんだ。聞いてもいい?」
「うん、なに?」
わたしは笑顔で頷いた。
今度はなんだろう。
依世ちゃんの眉の位置より短い前髪が、軽く揺れる。
「その前髪、邪魔に感じたりしない?」
またしても、想定していなかった問いかけだった。
以前、おばあちゃんにも同じことを聞かれたことがあった。
あのときは、邪魔じゃないとウソついたんだっけ。