こういうときって、どうしたらいいんだろう。
どうするのが正解?
悶々と悩んでいると、ため息が漏らされた。
「いないよ」
短く返答した、環くんの取り繕ったような声。
そっか、いないんだ。
“あのときの少年”が環くんのお兄さんだなんて、考えすぎか……。
やっぱり、他人の空似?
その声とほとんど同時に、一時間目開始のチャイムが鳴ってしまった。
「答えてくれてありがとう」
「いーえ。それより、早く教室行かないと」
「そっ、そうだね!」
まだ、顔が赤く染まってる。
環くんのそばにいるだけで、呼吸もうまくできない。
懐かしくて愛おしい、この気持ちって、もしかして――。