「・・・ん・・」


知らない内に、寝てたみたい。


「おはよ、」


外は真っ暗で。


(おはようじゃない、)


何て思った。


「大丈夫・・・・?」


「何が、」


「家の人・・・」


「居ひんよ、一人暮らし。」


「・・・・」


一人暮らしの割には、ものすごいいい家に住んでる。


殺風景だけど。


「みーちゃんこそ。大丈夫なん?」


「・・・私、は。」


大丈夫。


ずっと、ここに居たいぐらい。


「なぁ・・・・」


「?」


「また来て・・・・・」


消えそうな声で、そう言われた。

「ここに来るなら、死んだ方がマシ。」


本当は、そんな事思ってない。


きっとまた来ると思う。


ふざけたつもりだった。


なのに・・・・、


「!?」


いきなり後ろから抱きしめられた。


「な・・・・!」


「死ぬなんて、言わんで・・・」


痛いくらいに抱きしめられる。


「みーちゃん死んだら・・・俺生きていかれへん・・・・」


「!!」


ふざけたつもりだったのに。


生きてていいんだ。


その時は、


そう思った。


背中に当たる、冷たい感覚が。


それを物語って、


振り返るのを止めた。


私も、気付かれないように、静かに泣いた。


何十年か振りに、


泣いた瞬間だった。


初めて掴んだ居場所。