―・・・キィ
開くはずのない扉。
私は扉の方に目を向けた。
「あれ?先客?」
その人は、私を見てそう言って、
少し離れた場所にドカッと腰掛けた。
鼻をつくタバコのニオイ。
(タバコかよ・・・・)
茶色に染まった綺麗な髪。
整った顔立ち。
きっとモテるんだろう。
でも、興味はなかった。
「授業、出なくてえーの?」
その人の口から出たのは、
聞き慣れない関西弁だった。
でもやっぱり興味はないから。
「そちらこそ。」
て、適当に言った。
名前も。
学年も。
何も知らない。
けれど、
少なくとも今まで見てきた中で1番。
キレイで、
悲しい瞳をしてた。
「何年?」
やけに絡んでくる感じがうざったい。
放っといて欲しい。
「一年。」
でも、答えはした。
何となく面倒臭くなりそうだったから。
「・・・ふーん」
聞いといて、自分の事は言わないんだ。
嫌な奴。
せっかくサボってたのに。
考えれば考える程、
腹が立って。
体を起こした。
「え?どこ行くん、」
「・・・どっか。」
わざと大きな音をたてて屋上を後にした。