「不知火もうちょっと自己主張したらどうなんですの?」
「二階堂さんごめんなさい」
風紀委員会に所属する1年生の2人は今度使う風紀委員会の書類を作っていた。風紀委員会では朝の登校時に校門の前に立ち、服装のチェックをしなくてはならない。多少の乱れは目をつぶるが服装が大いに乱れた生徒の注意をしなくてならないのだ。今日は1年生の1人に度の越した腰パンをした生徒がいた。その男子生徒を注意しようと不知火はしたが睨まれて萎縮してしまい注意できなかった。そのため二階堂が注意をし治させたのだ。相手は多少ごねたものの、二階堂に見事に言いくめられ丸く収まった。
「だいたいあなたは男のくせに軟弱ですわ。ドイツじゃそんな人いませんでしたわ」
フンッとそっぽを向きながら、二階堂は書類を作成続ける。しかし何も言い返さない不知火に腹が立った。
「言い返しなさいな」
とバンと机に手をついた。
「だ、だって事実だし」
二階堂に萎縮し声が小さくなる。
「このままでいいんですの?あなた馬鹿にされてますわよ」
「……、僕だってやだよ。でも仕方ないよ。僕、気が弱いし。弱虫だし」
ネガティブワードを連発する不知火に更に二階堂はヒートアップした。
「言い返しなさいな、弱虫、チビ、気弱、マヌケ……」
「そ、そんなことない」
二階堂が次々と侮辱していくのに耐えきれなくなったのか、ついに不知火は精いっぱい言い返した。
その様子を見て二階堂は口を緩めて満足げに笑った。
「出来るじゃありませんの。明日からそれでお願いしますわ」
「えっ……はい」
不知火は自分が言い返したことに少し驚いた。そして流れで返事をした。
翌日の服装のチェックで、また不知火は注意できなく、二階堂に叱られていた姿が目撃されたという。