武蔵野商店街にある一つのお店、五十嵐ラーメン店。お昼時には行列ができるほどの繁盛店。

ガラガラガラと扉の開く音がする。時間は17時まだまだ夕御飯には早い時間帯

「いらっしゃいませ」

五十嵐ラーメン店の一人娘、五十嵐渚は大きな声を出して挨拶した。それとほぼ同時に父と母も挨拶する。

いったい誰だよ、こんな変な時間帯に来るなって
内心そんなこと思いつつも渚はお冷をだしに向かった。
カウンターに座るポッチャリ系の男、そして武蔵野総合高校の制服。渚はお冷を持って行く途中に気がついた。
こいつ、篠原じゃねぇかと……

篠原友和は料理部の部長でかなりの大食いだ。校内で食リポをやらせたらかなう者はいない。

「注文お願いしまーす」

「はい」

「醤油ラーメンと豚骨ラーメン一つずつね」

「えっ、はい」

こ、こいつ二人前食べる気か。ラーメン2杯とか晩ご飯か何かなのか?こいつ

「醤油ラーメン、豚骨ラーメン一丁」

「「はいよ」」

父と母の掛け声がはいる。

そしてラーメンを作り始める。私はその間暇なため、近くの机を拭いたり橋の補充をしたりしていた。やがてラーメンができて私は篠原に持っていた。

「醤油ラーメンと豚骨ラーメンになります」

「ありがとう」

嬉しそうにニコニコとしながら彼は受け取り食べ始めた。そしてあっという間に平らげてしまった。

「ごちそうさまです」

そう言いレジに向かってくる。私はレジで会計をする

「ここの豚骨ラーメン美味しいね、醤油ラーメンも美味しいけどさ」

うちのおすすめは醤油ラーメンだ。豚骨ラーメンを頼む人は少ない。だけど醤油ラーメンと同じくらい美味しいというのは知る人は少ない。

「また食べに来てもいいかな、五十嵐さん」

こ、こいつ私のこと知ってやがったのかと内心、渚は思った。

「か、勝手にすれば?あんたがどんなところに行こうが自由じゃん」

「じゃあまた来るね、五十嵐さん。今度は一緒に食べよ」

「はっ?」

「バイバイ」

そう言い手を振り彼は帰ってしまった。
今のどういうことだっての、恥ずかしさを消すために机を何度も拭いた。

後日、食リポサイトに豚骨ラーメンのことが書かれ、五十嵐ラーメンはさらに繁盛した。