みどりの送別会は終わった。
彼女は結局かなり飲んで、ふらふらになっていた。
みどりの同期である石黒が、車で送っていく事となった。
石黒はお酒が飲めなく、いつも車で来ていた。
みどりの自宅まで、車で送るのが、お約束のようだった。
みどりとの付き合いは、今日で完全に終了だろう・・・
僕はそのように思いながら、皆と別れ、駅まで向かった。
「貝瀬さん、お疲れ様です。」
声をかけてきたのは、送別会に出席した、高藤由紀子だ。
彼女は、飲みなどの席では目立たないが、何故か気になる存在ではあった。
「みどりさん、だいぶ酔ってましたね・・・。」
「まあ、いつもの事だから、石黒に任せておけば大丈夫だろう。」
「高藤さん、自宅どこだっけ?」
「今、●●です。」
「えっ、ここからかなりあるね。」
「そうなんです・・・。」
高藤由紀子は、笑いながら言った。
その笑顔は、春という季節にふさわしいくらい、爽やかだった。
「貝瀬さんは、どちらでしたっけ・・・?」
「あっ、俺は▲▲だよ。」
「じゃあ、近いですね・・」
「いいなー。」
僕達は、他愛ない会話をしながら、駅まで歩いた。