「どの面さげて来てんだ、お前?!さっさと諦めろ。」

「椎が一旦決めたことは曲げない性格なの知ってるだろ。」

笑、壱兄の順で総攻撃開始してます。

臣は困った顔で立ちつくしてます。

蜜は鋭く睨んでおります。

湊くんは…。

「椎はオレのになったから。諦めろ。てか、お前うちのレイルにいるやつだろ。」

レイルって湊くんの会社なの?!

レイルは有名なブランドで、洋服や靴、バッグを取り扱ってるんだよね。

「五稜社長?!」

私と同じくびっくりしてる臣の声。

「まぁ、レイルの社長は弟の帆積(ほづみ)だけどな。オレはホテル経営の方が忙しいからな。てか、んなことどうでもいんだよ。椎はやらねぇぞ。やっと手に入るんだからな。お前が浮気してくれて良かったわ。」

「なっ、オレ、まだ諦められません!」

「でも、お前もう椎には触れないぞ?」

「時間がたてば…椎だって震えなくなると…。」

「無理だろ。椎はそんなに単純じゃない。繊細なんだよ、こう見えて。裏切りに弱いし、一度見限れば二度と元には戻らない。」

湊くんが全て代弁してくれる。

「それでもっ…!」

まだ食い下がろうとする臣に、私もため息をひとつ。

『ねぇ、いい加減にしてくれる?自分のしたこと考えてみて?別れたくないなんて、どの口が言ってるの?顔も見たくないって言ったよね、私。景だっけ?あの子を彼女にしたら?市瀬くんにフラれたわけだし、同じ事できる人なんだから、うまくいくんじゃない?』

どんどん悪態つける、イヤな私にどんどんなっていく。