「てゆーかさ、何でそんなに頭いいの?」
「美咲と違って勉強してるからだよ。」
美咲は幼馴染みで、私の良き理解者。
勉強は平均より下だけど、明るくて面白くて、なんにでも真っ直ぐな性格だ。
「あ、分かった。いっつもチョコ食べてるからだ。」
「そんなんで頭よくなるなら皆食べるよ。」
「えー、だって勉強には糖分とればいいとかなんとか言うじゃん?」
美咲は肩につかないくらいの黒髪を耳にかけて、曖昧な情報を口にする。
「じゃあ美咲もチョコ食べれば?はい、チョコ。」
ポケットからチョコクッキーの入った袋を取り出して渡す。
普通のチョコだと溶けちゃうからね。
夏はクッキーとかしか持ってこれない。
「わーい、ありがとー!いっただっきまーす!」
早速袋から取り出して一口で食べた。
めっちゃ美味しい!って大袈裟な反応をして、太陽みたいな笑顔を見せる。
「いいなぁ。私にも頂戴。」
私の隣の席の紗月ちゃんだ。
「いいよ、はい。」
渡すと、笑顔でそれを受け取る。
「ずっと気になってたんだけどさ、千花ちゃんっていっつもチョコ持ってきてるよね。そんなに好きなの?」
素朴な疑問の返答に、少し困ってしまう。
「うん。」
「そっかぁ。」
少しの間の後答えれば、興味あるのかないのか、微妙な返事が返ってきた。
チョコは嫌い。
甘いから、苦いコーヒーの方がいい。
でも、チョコが好き。
チョコを食べると、紘の事を思い出せるから。