不穏な空気が漂っている。
誤魔化しきれなかったようだ。

うっかり漏れてしまった一言は、しっかり二人に届いてた。

「…好きでいろってことですかぁー?」
ひとみちゃんは首をかしげる。

「和也さん!どういうつもりですか?!」
山田は妙に慌てている。

「違うんだ!つい、心の声が…」

改めて訂正したけど、焦ってて上手く伝えられなくて、余計にヒートアップさせた。

「心の声ってどういうことです?!」
「諦めなくていいんですかぁー?」
「どういう意味ですか?!和也さん!」
「先輩、答えてくださいよぉー!」

「ちょっと、待て、ちょっと、待ってくれ!」

ようやく静かになったところで、一気にビールを飲み干した。

それから大きなため息をついて、話をしようと決意した。

幼なじみのさやかしか知らない。
俺が愛した、あおいの話を、、、

「…忘れられない人がいるんだ。もう何年も会ってないけど」