「夕日を見つめる蒼井がきれいで、思わず抱き寄せて、、、」

キスした。

両想いだと分かった瞬間、言葉より先に体が動いた。

蒼井の白く細い腕を掴み、もう一度強く抱き締めていた。

風に揺れるサラサラの髪、
うっすら香る甘い匂い、
頬は想像よりも柔らかく、
唇はそれ以上だった。

誰かがいたとか、人の気配とか、
どうでもよかった。関係なかった。

溢れる想いを抑え込むように、
何度も唇を重ねた。

蒼井がいれば、蒼井さえいれば、
他には何もいらないと思った。

すごく嬉しくて、
少し苦しくて、

そんな気持ちを言葉にした。

ーーー「俺は好きだよ。愛してる」


「なんかキュンキュンしちゃいますぅー!それからっ?それからっ?どうしたんですか?」

「ほとんど毎日一緒にいたよ。遊びに行ったり、他には…いろいろ」

キャー!とひとみちゃんが叫び、
うるさい、騒ぐな、山田が怒った。

恥ずかしいことを言ってしまったと、
俺はビールを流し込んだ。

「それから二人は、恋人同士に?!」
ひとみちゃんは目をキラキラさせた。

「つまり元カノだったんですね?」
そのとき山田がズバリと訊いた。

「元カノか…それは、違うな」
俺はそう言って、少し考えて、

「そういう話はしなかったんだよ。そもそも彼女はさやかだったから」