百太「…あっ……」
担任である中居渉に邪魔された挙げ句、中居だけじゃなく、啓太たちに百合亜の喘ぎ声を聞かれた。
…息子よ…無念。
まさに不完全燃焼。
魁「百合亜可愛い…」
百「煩いわっ!;;」
…頼むから可愛い顔を見せんな。
俺は起き上がり、百合亜を引っ張って起こした。
啓「盛んなよー!」
春「溜まってるのか」
太「黙れ」
誰かこのイライラを止めてくれ。
俺は百合亜の肩に頭を載せた。
啓「ま、元気になって良かった!見舞いだ!帰るぞ!」
啓太は菓子と果物が入ったスーパーの袋を、ベッド脇の小さな棚に載せて、ドアへと近付いた。
中居「邪魔するの悪いしな」
教師らしからぬ発言をしながら、中居は白い見舞い袋を一度、掲げてからテーブルへと置いた。
春「じゃあな」
何故か春仁は百合亜の頭を撫でやがった。
魁「じゃーな!」
魁人は手をヒラヒラとさせるだけ。
そして最後の雅之は、俺に握手を求めた。
太「…何だよ;;」
気色悪くて握れない。
雅「たくっ!」
しかし無理矢理、握られた。
雅「大切な事、忘れんなよ!」
…あはははは…;;
握られた手の中には、本当に便利なモノが。
俺は完全に顔が引き摺った。
雅「百合亜も忘れんなよ?」
百「は?;;」
百合亜が呆れるのも仕方ない。
…お前は何者だ;;
雅「じゃあな!続きを楽しめ!」
みんなを追い出し、ドアの所で舌を出しながらポーズを決めた雅之。
その手には、俺の手の中と同じ、未開封のゴムがあった。
しかしこの白けたムードで出来るわけなかったのは、言うまでもないだろう。
──数日後、太一は無事に退院した。
どっこも異常もなく、今や普通に通っている。
でも、気付いたら私たちの関係の話が広まり、ちょっとイライラし始めていた。
?「太一っ…く、ん…」
おまけに、私だけじゃなく、みんな太一に確かめる。
私が怖いらしい。
太「誰?」
?「わ、わ、私…っ!!
1年の石川ですっ!!;;」
…後輩なら、「太一先輩」か「野々山先輩」だろ!
妬いている訳じゃない。
…ただ、ウザいんすよ。(笑)
太「何の用?俺は百合亜と付き合ってるから、それが知りたいならもう戻れば?
それと、百合亜と俺が付き合っても君らに迷惑掛けないから、変な噂は、これ以上、辞めてくれ」
石川「やっぱり…本当なんだ…っ…!!」
バタバタと足音を起て、泣きながら教室を去る石川さん。
…やっと帰った。
もう、噂は真っ平ごめん。
"百合亜先輩と太一先輩が喧嘩したら、学校崩壊"
その裏は、噂をたてれば、私たちが別れて、太一がフリーになるから。
冗談じゃない───!!
私は太一と別れるつもりは毛頭ない。
私は心の中で、石川さんに塩を撒いた。
啓「百合亜はターゲットに出来ない、憎き女だな!」
百「…うるせぇぞクソアマ…」
太「百合亜!;;」
百「だってぇーっ…!!」
私は、ある意味でのツンデレかも知れない。
仲間たちにはツンツン、
彼氏には、デレデレする。
太「計算じゃないのがムカつくよな…;;」
啓「ギャップは可愛いね」
太「お前が可愛い言うな」
啓「そりゃねぇよ!;;」
ハグしようとしたのに、太一は啓太に向いてしまった。
けど私、侑の時でも、こんな甘々なキャラだっただろうか。
…ま、どうでも良いか!
百「太一、ぎゅーの時間」
太「不意討ちかよ!!;;」
私は太一に横から抱き着いた。
…不意討ちで悪いか!
太(半○っキ…;;)
雅「こんな可愛くて美人な女に抱き着かれて、我慢出来る太一はすげぇ!」
百「"我慢"?」
太「百合亜は何も気にするな!」
…それは気にして欲しいのか?
私は太一の格闘に気付かずに、抱き着きながら、この幸せを続くように願ってみた。
太「シャンプー変えた?」
百「うん。この匂いダメ?」
太「こっちのが好き」
百「良かった」
この何気ない時間、何気ない会話があれば、私は何もいらない。
太一は、私がちゃんと守って行くし!
なのに…
なのにー!!!!
ーーバタバタドタドタ
廊下から激しい足音。
?「百合亜ーーー!!」
私たちの忙しい日々は、まだまだ続く知らせを持った、不吉な足音と、私を呼ぶ不吉な声が聞こえた。
ーーバン──ッ
…うおっ!!!!
激しく開いた扉に、教室にいた生徒全員の肩がビクッとなった。
?「大変だよ百合亜!!」
…やっぱり星弥か…;;
星「ギャー!!不良ー!!
百合亜、ここ危険だよー!!」
…頼むから叫ぶな;;
春「煩いな;;」
啓「窪塚財閥の坊っちゃんが不釣り合いな場所だな;;」
…正しく。
星「だだだだダークネスだっしー!!!;;」
入り口で叫び続ける、本当にこの場に不釣り合いな星弥。
私は椅子から立ち上がり、星弥に近付いた。