「初めまして…阿部夏樹(アベナツキ)です」


なつき…


そう聞いた時
ふと、なっちゃんの事が頭を過ぎった。


もしかして、彼はなっちゃんなのではないか…。


証拠も何も無いのに、そう思ってしまった。


いやだって、顔もどことなーく似てるし?

喋り方もなんかさ、それっぽいかなぁって…。



でも…さ…

もしかしてこの人がほんとになっちゃんなら…


「仲良くしてくれたら嬉しいです!」


…なーんて、そんなわけないか!



「んじゃ…浅香(アサカ)の隣!阿部、あの空いてる席に座ってくれ」


浅香…私?



私の左隣は誰も使っていない席。



「阿部夏樹です。よろしくね」


か、可愛い…

てか、美しいっ!


「あ、えと、浅香鈴です!よろしくね」


慌てて自己紹介し返すと、笑顔で


「へぇ、りんってどんな字書くの?」



「あ、すずって書くの!
鈴って書いてりんって読みます!」



「あはは、綺麗な名前だね。
すず…か…。」


ドク


『すーちゃん!』


「あ…あの、阿部くん…」



「夏樹でいいよ」



「じゃ、じゃあ…なっ…ちゃん」



「なっちゃん…?ふふ、懐かしいなぁその呼ばれ方」



「…っ、やっぱり夏樹くんって呼ぶね!!」


"なっちゃん"

なぜか彼の事をなっちゃんと呼ぶのはダメな気がした。


「ん?何か俺の顔についてる?」


おっと…!

ボーッとして、ついつい夏樹くんの美顔面を凝視してしまっていた。


「ううん!何でもないよ!ごめんね」