今から四年前の春。

ちょうど中学に入学したての頃。

あの人は別の中学で、まあ、あまり話さなくなったんだけど。そんな仲悪くなったわけでもなく…

朝会ったり、帰りに遭うことがたまにあったからそのとき、話すぐらいで…

なんともなかったのに

1年前からピタリと会わなくなって
というか

【会わないようにしていた】

これが正しいのかもしれない。
もちろん、私じゃない。向こうが。

それでも全く会わないことはなくて
家も近いから見かけることはあった。

目が合った時…思わず手をふろうとした。
むこうは友だちと仲良さそうにふざけあっていた。

でも…
私が手をふろうとした瞬間、あの人はさっきの表情が嘘みたいにこわばっていた。

その時私は感じ取った…

【こっちみんな】

確かにあの人はそんな目をしていた。

いつも話していたあの人とちがう…

あれはあの人ではなかった。

あんな冷たい、さめてるような…かわいた目…みたこともなかった。

怖かった。手の震えが…あの人のあの目が…
今でも鮮明に憶えている。

それ以来、私はあの人の目をちゃんとみれたことはない。

そのぐらい怖かった。