「お楽しみだったようですねぇ?
芹澤さん?」





席につくと、待ってましたと言わんばかりの顔で悠子が話しかけてくる。





「…わかんない。自分がどうしたいのかも、何が嫌なのかも」





そうして悠子に自分の気持ちを全部打ち明けた。





「今までより距離が近い男の子なんて初めてだから勘違い…とか、そんなんじゃないの?
しかも相手は自分のこと好きだって言ってくれてる、だからじゃない?」





確かに。こんなに男の子と喋ったのとかお昼食べたことなんて無かったから舞い上がってただけなのかもしれない。


んー…と考える私に悠子は続ける。





「今のこの状況を喜んでる自分がいて、そうじゃない自分もいる。
でも、あたしは…まだ戻れるのなら好きにならない方が良いと思う」

「…やっぱりそうだよね」





悠子は冗談も言うタイプだけど、この顔は真剣なとき。





「全然知らない人の話ならともかく、親友がってなると…あんまり応援は出来ないよ…
璃乃が悲しむ顔なんて見たくないもん。
あたしは璃乃が言ってた落ちたふりだけ見せる作戦、良いと思うけどな?」





…悠子が言う通り、私がこの人を好きになった途端にこの関係が終わるっていうのが怖いんだと思う。


だから、最初に思ったように落ちたふりだけしよう。


それで何もないまま、ふわっとこの関係を終えてしまおう。