「しかし、相変わらず郁斗先輩は涙にゾッコンだね!ラブラブで羨ましいなぁ…」
ラブラブ、ねぇ。
「んー、でもそろそろ別れるかも」
「えっ!なんで!!」
「半年付き合ってみたけどさ、何も楽しくないし。郁斗くんには悪いけど」
「……涙は贅沢だよ。あんなにかっこよくて優しい彼氏なんて早々できるものじゃないよ?」
「うん。そうだね。かっこいいし優しいよ。」
「じゃあ」
「でもそれだけ。それ以上の目で見れないし、それ以上の感情を望まれるのが心苦しいんだよね」
「……そっか。」
「はい、この話は終わりー。朝からこんな湿っぽい話は疲れるね。次移動教室だから用意しよ」
適当に話を済ませる。
人は少し恋だの愛だのに執着し過ぎだと思う。
人生それだけが全てじゃないだろうに。