「ひなは、我が国にとっても、王位継承者であることに変わりはないが・・・。ダリウスに対抗するには、シーエン王国の協力はなくてはならないものだ」

「・・・」

「国を護るためにも、・・・ひなにも、最悪の時には・・・」

「・・・はい。わかってます、王さま」




心は揺らぐ。
だって。

ジルの側にいられないなら、私にとってはシーエン王国もダリウス王国も同じだった。
いくら待遇はよくなったとしても。
人として扱われたとしても。


ジルがいない場所なら、生きていたって・・・。



でも・・・。
もうそんな甘いこと言ってられないんだ。



私はこの世界で生きていくと決めて。
お母さんたちに胸を張れる生き方をするんだって決めたんだ。



「まだ、決まったわけではない。あまり気負いしなくてもよいぞ?」

「はい。ありがとうございます」