ジルさんが話すこれまでの話には、リアリティがあった。
私がお母さんたちのところに行こうとしたこと。

だって、私はずっと考えていたもの。
二人のところに行きたいと。
生きていてもしょうがないと。



でも・・・。
私が、この国の人のために敵対国に行ったこと、自分の命をなげうろうとしたこと・・・。
それは、信じられなかった。


そこまで私はこの人たちの事を大切に思っていたのだろうか。
誰かを大切に思うなんて、本当に・・・?



「・・・そうですか」

「疑わないのですか?」



ジルさんにそう問われ、私は少し考えてジルさんを見上げた。




「嘘を言っているようには見えないし。それに、ここから見えるモノ見慣れないものばかりだから」



ジルさんたちの服装にしても、少し遠目に見える窓の外の景色にしても。
それが現実だと示しているようで。
投げやり気味、なのかもしれない。
だって。
どこにいたって同じだったのだから。