でも、この人の心配は、本当に心からの心配なんだってなんとなく伝わってくるから。




「記憶を失っているようなので、戸惑うと思いますが、私の話せる範囲でお話させていただきます。この世界の事、我々とひな様の事を」

「はい・・・。お願いします」



記憶を失くしているとわかって、バタバタと慌ただしくて私がなくした部分の記憶の話をなにも聞いていなかった。
ちゃんと、話しに来てくれたんだ。





「ここは、ひな様が生まれ育った場所ではございません・・・」



始まりから、とても衝撃的な始まりだった。
それから、ジルさんは私に丁寧に教えてくれた。


ここが、私の住んでいた場所からすると異世界にあたること。
お母さんがこの世界の人で、王女だったこと。


そして私が、王女としてこのお城で暮らし始めたこと。



そして、私がケガをする原因となったこと。
全部、丁寧に教えてくれた。


それはまるで物語のようで、あまりピンとは来なかったけれど。
ジルさんが、嘘を言っているようには思えなかった。