それからひな様はめをさますことなく時折うなされながら数日が過ぎた。


熱はようやく下がり、穏やかに眠っている。
私はひな様のそばに寄り添い、眼が覚めるのを今か今かと待っていた。




ひな様の声が聞きたい。
私の名を呼んでほしい。

前のようにそばにいたい。



いいえ。
前よりも、もっと近くに。




そんな、執事としてあるまじき感情がわきあがる。
ひな様をお慕いしている。


こんな感情を主に抱くとは思わなかった。
ひな様と出会ってから、私は変わってしまったように思う。

以前は、仕事を完璧にこなそうと執事としての所作行動を心がけ。
鉄仮面を貼り付けて。



でも、それでもひな様は、そんな私を好きと言ってくださった。
それが嬉しくないわけがない。



同じように思わないわけがない。