街中の人混みを掻き分けて、人だかりが出来ているところへ何とか入っていく。
皆の視線の先を見る。そこには4、5才くらいの薄汚れた着物を着た小さな男の子と、体格の大きい年配のおじさんがいた。
「おい坊主、調子乗ってんじゃねーぞ!」
「うぅ…ごめんなさい」
「あ?!ボソついてんじゃねーよ、全然聞こえねーんだよ!!」
「う……ひっく…ッ…」
いったい何があったのだろうか。
「男の子がじーさんにぶつかったんだよ。」
声の方を向く。どうやら思った事が顔に出てた私に親切に教えてくれたらしい。
ていうか男の子謝ってるんだから、ぐちぐち言わなくてもよくない?しかもぶつかっただけだし。
そんな事を考えてると、カチャッと音がした。何かと思って視線をあげる。
そこには、泣き続ける男の子にしびれを切らしたのか腰から刀を抜き出すおじさんがいた。
野次馬達のざわつきが増す。
男の子はよりいっそう泣きわめきはじめる。
「あー、もううぜーんだよ!!元はと言えばぶつかってきたお前が悪いんだろ!?」
男の怒りはヒートアップしていく。
と、次の瞬間おじさんは男の子に向かって刀を振り下ろした。