あの日の朝、通学路で恵美香と祥子、美希、愛と合流した。

あれ? 可奈は?

いつもその6人で登校していたのに。

「今日から可奈いないのかー」

恵美香が言った。

え。

「そうだね。転校先どこだったっけ?」

他の3人も相づちをうって話している。

え。

可奈が転校、、、?

私がフリーズしていると、恵美香が、

「詩織、覚えてないの? 修了式のときに言ってたじゃん。」

と不思議そうに聞いてきた。

「う、うん。今日寝ぼけてて、いろいろと思い出せないみたい。」

と応えたが、みんなは困惑している。

そりゃそうだ。

私と可奈はとても仲が良かったから。

多分、親友って言えるくらい。

それなのに、私は可奈の最後のメッセージも思い出せない。

それどころではない。

小学校のことなら覚えている。

でも、この1年間、一緒に遊んだ記憶もないのだ。

うつむいて、小さな声で私がそれを伝えた。

みんなが立ち止まって口を閉じた。

顔をあげると、4人の顔が目に飛び込んできた。

呆れた顔。

見下した顔。

不快そうな顔。

哀れんだ顔。

ごめんと言おうとしたが、声が出てこなかった。

恵美香の声がした。

「サイテー」

恵美香が私に背を向けて歩き出した。

祥子と美希と愛も、私を一瞥すると恵美香を追いかけて行ってしまった。