『ママー!!!』

何の曇りもない無邪気な笑顔で駆け寄ってくる、愛しい愛しい息子。
その小さな体を私に預けると、子供ながらに力いっぱい抱きしめてきてくれた。

『ママ、何してるのー??』

息子の視線は私の顔から私の手元へといく。
その先には、少し埃の被った、でもまだ色鮮やかにその時の記憶を写している、数十枚の写真。

『思い出の、整理をしてたんだよ。』

伏し目がちに答えた私に、息子はよく分からないといった顔をしている。

『ママの思い出ー??』

そう言うと、息子は私の手から1枚の写真を取った。
そこに写っているのは、10年前の私とー…。

『この人、だぁれ??』

そこに写っているのは、今も忘れられない。
たった1人の愛する男。






『皐、今日も愛してるよー!』
『皐も俊太郎の事愛してるよー!』


冗談なのか本気なのか分からない、愛の言葉を紡いでいたあの日々。

目を閉じれば昨日のように蘇る、あの日々の記憶。