「ちょ、私も食べたい〜!」
「次は誰が歌うの〜?」

お菓子を食べたりカラオケをしたり、バスの中はとても賑わっていました。





「ねぇ、咲桜は何食べる?」
隣に座ってる実優がたくさん話しかけてきているのはわかってた。
けど、後ろで楽しそうに話している梨乃と優くんが気になって話に集中できていなかった。
何かモヤってしてる。

「...もしかして何だけどさ、咲桜って優のこと気になってる?」
「なわけないじゃん!笑」
出会って1ヶ月も経ってないのに。
気になってるか聞かれて、少し顔が赤くなってる気がする。

「好きかって聞いてるんじゃないよ?話したいな〜って思ってるか聞いてるんだよ。話したいと思ってるなら気になってるってことじゃないの?」

...確かに。
出会って数週間の人に恋するほど軽い女じゃないと思ってる。
けど、優くんと話したいと思ってる自分がいることは確か。

「梨乃〜、咲桜が眠そうにしててつまんないから咲桜と席交換してよ〜。」
「えぇー。しょうがないなぁ。」
やれやれって言いながら席を交換してくれた梨乃。
頑張りなよって顔で語ってくる実優。

「あ、咲桜じゃん。眠いの?丁度よかった。俺も眠いんだよね。」
...そうだった。眠いって設定で席交換してもらったんだ。

「...そうなの。昨日の夜、楽しみで眠れなくて。」

「子供かよ。笑 いいよ、ほら俺の方に頭置いても。」
「ありがと。でも遠慮しとくよ、子供扱いされたくないし。笑」
しまった、素直に『ありがと〜。』とか言って頭おかしてもらえばよかった...。

「なに遠慮してんの。」
ほらって言って私の頭を自分の肩に置く優くんの手は、とても優しかった。

無理やり置こうとしてるって感じじゃなくてとても落ち着く手だった。


...柑橘系の匂い。
香水って感じじゃなくて柔軟剤みたいな優しい匂い。

「おやすみ。」って優しく言う優くんの声を聞いてすぐ私は眠った。