「うん。だけどあとちょっとだけ頑張ってみる。明日斗に…気に入ってもらいたいの」

そっか、と言って龍がもう一度笑った。

「だからあっちで食べてよ」

「嫌だねー」

「一瞬いい奴かと思ったのになー」

「一瞬ってなんだよ。ずっと思えよ」

ああ。龍ってなんというか……気持ちを軽くしてくれるなぁ。

気が紛れる。

このときの私は、楽しかった。


゚*.。.*゚*.。.*゚

「仲イイらしーじゃん、龍と」

放課後、一緒に帰る約束をしていた私を、明日斗は冷たい眼差しで見据えた。

すぐに考えたのは、誰が明日斗にそう言ったのかって事だった。

「髪も色変えてっしさ、メイクも地味になってるし」

誰だろう。龍じゃないのは分かる。

じゃあ、理沙達?

それとも……敦也かも。

敦也と龍と私は同じクラスだし、敦也は絶対にいつも昼休みは屋上にいる。

悪気がなかったとしても話題にする可能性はある。

「……龍に乗り換えたってか」

「ち、違っ」

「じゃあ、なに」