「龍」

「んー?」

「龍はさ、カッコいいよ」

お弁当を広げようとしていた龍の動きが止まる。

「ほ、ホントだよ?!龍のファンいっぱいいるもん。だから大丈夫だよ」

屋上の床に座り込んだ龍が、ポカンとして私を見上げた。

「う、嘘じゃないからね?!龍はちょっと無愛想だけどイケメンだしスタイルいいし!だから元気出しなよ」

「お前さ、」

龍がフワッと笑った。

こんな風に龍が笑うなんて意外で、今度は私がポカンとした。

「へ?」

どうしたんだろうと思って見つめると、龍の口から思ってもみない言葉が飛び出す。

「お前さ、それ以上痩せんなよ」

「…え」

「明日斗はどう思ってんのか知らないけどさ、」

龍はそこで一旦言葉を切ると、私の手首を掴んでグッと下に引いた。

ペタンと座る私に龍は続ける。

「俺は痩せなくてもいいって思う。髪の色だって、お前が好きな色でいいんじゃね?誰かのためじゃなくても」

胸がギュッとして、痛いような苦しいような感覚に、私は思わず口を開けた。

なんか、嬉しい。