「そ、れは」

「とにかく思ったの。年下は……物足りないって」

冷たいというかウンザリというか…とにかくセンパイ彼女の声には抑揚がなかった。

「ごめんね龍くん。じゃ…ね」

二度目の音は、上靴の音だった。

それから、急に目の前の戸かカラッと開く。

「あ、」

気付いた時には龍のセンパイ彼女が目の前に立っていて、私は焦って道を開けた。

「……」

背の高い龍のセンパイ彼女が、私を見下ろしている。

「おはようございます」

「…おはよ」

龍に話してた声よりも優しい、明るい声。

その変わりように驚いて見上げると、センパイ彼女は私にニコッと笑った後、早足で廊下を歩いて行ってしまった。

……これって…別れ話…だよね。

聞かなかったフリが一番だよね……?

ゆっくりと中に入ると、そこにはやっぱり龍がいた。

「おっはよー」

机に腰を掛けて椅子に足をのせた龍が、弾かれたように私を見た。

「なんだよ、お前かよ」

それから気だるそうに口を開く。