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事件が起きたのは、その後すぐだった。

「こういうの……もういいよ」

準備室…通称コピー室の戸の前まできた私の耳に、信じられない会話が飛び込んできた。

「迷惑?」

少し戸が開いていて、そこから声が漏れている。

「…迷惑っていうか……もう……」

「なに?ハッキリ言ってよ、先輩」

これは……龍の声だ。

もしかして龍も、コピー室に置いたままのバスケの練習メニュー用紙を取りに来たのかも知れない。

「もう、終わりにしたいの」

嘘。これって龍の……センパイ彼女だ。

ソッと隙間から様子を窺うと、カタン、と机が動いた音が響いた。

「なんで?俺、なんかした?」

「そうじゃない。だけど…」

「だけどなんだよ」

やだ……心臓がバクバクする。

龍が…龍が、センパイ彼女に……。

嫌な予感で胸が苦しくて、私はどうすればいいか分からずに突っ立ったままだ。

「気付いてないと思うけど……龍くんってさ、私の事好きじゃない気がするの」

「はあ?!」

「付き合ってても…何もしてこないし」