「ああ」

胸をギザギザの何かで擦られたような感覚。


《どーでもいーけどな》


…なんで?

…なんでそんな言い方するの?

明日斗が去っていき、後には動きの止まった私が残る。

そんな私に龍が溜め息をついた。

「…気にすんなよ」

「気にするよっ!」

だって、どうでもいいなんて思われたくない。

「どうでもいいなんて、悲しすぎだよっ」

悲しくて惨めで泣きそうになる。

「アイツ、赤点あるみたいだからイラついてんだろ。本気でどうでもいいわけじゃねぇから、」

「なんでそんなの龍に分かんの?!いいよ、気使わなくてもっ」

龍の脇をすり抜けると、私は教室を飛び出した。

まだ間に合う。

美容院の予約は6時だもん、直でいけば間に合う!

決めたんだもの、出来る限り努力するって。

私、決めたんだもの。