その声に我に返ると、私の真正面に龍がいた。

「変なあだ名つけないでよ!龍のバカ」

私が睨むと龍は両手をズボンのポケットに突っ込んで、机に浅く腰かけたままニヤリと笑う。

「男女混合チームで女子はハンデの対象だよ?!ありがたく思ってよね!」

「ありがた迷惑かもな」

「なによ、自分がバスケ部だからって調子乗りすぎ!ダサ!」

「うるせ」

ベーッとやった私の態度にムッとしたらしく、龍がほっぺたをムニュッと掴んできた。

「やめゃてぇ~」

「生意気なんだよ、お前は」

そんな私達に河島っちが笑いながら声をかける。

「そこ!夫婦喧嘩しない!」

私は龍の手首を両手で掴みながら眉を寄せた。

「河島っちー、私こんな奴と夫婦じゃないしー」

河島っちは私と同じ中学出身だ。

中学時代からサバサバとした性格で、男女問わず人気がある。

「そういや、美夜も龍もバスケ経験者だよね。じゃ手っ取り早くキャプテンが龍で副が美夜ね!二週間後の大会までよーろーしーくー!」

「えーっ」

私の不満の声は見事に皆の拍手にかき消された。

「龍もそれでオッケイだよね?!」