芽来は星汰と恋人同士となったとき、二人で出かける約束をしていて、前日から楽しみにしていた。
 アンティーク雑貨屋に入ったとき、チェック柄のキャニスターを発見した。

「貸して。買うよ」
「いいの?」

 芽来が喜んでいると、星汰が声を出した。

「どうかした?」
「いや、前につきあっていた彼女にもこういうものを買ったことを思い出してさ・・・・・・」
「ん?」

 首を傾げている芽来に気づかず、星汰は商品を持って、レジへ行ってしまった。
 喉が渇いて何か飲み物を買いに店で何を飲むか迷っていたとき、星汰が勧めてくれた飲み物を選んだ。
 小倉あんみつも注文すると、彼がじっと見ていることに気づいた。

「同じだな・・・・・・」
「何が?」
「彼女も好きだったんだ。あんみつ」

 また彼女の話をされて、気分が悪くなった。彼との関係をどうしたらいいのか悩んだ。
 別の日に星汰の家に初めて遊びに行った。

「今日、泊まってかない?」
「急にどうしたの?」
「外」

 後ろを振り返ると、窓ガラスが雨で濡れていた。

「・・・・・・本当に泊まっていいの?」
「いいに決まっているじゃん!」

 アイスカフェオレを飲み干し、すぐに部屋に案内された。

「そのベッド、最近買ったの?」
「結構前だよ。どうして?」
「綺麗だなと思って・・・・・・」

 買ったばかりと思っていた予想は外れた。

「気に入ってたんだ・・・・・・」
「ん?」

 彼の言ったことに違和感を感じた。

「星汰、もう気に入っていないの?」
「あっ、俺のじゃなくてさ・・・・・・」

 次に彼の口から出た人物を聞いた瞬間、鞄を手にしていた。

「どこ行く気!?」
「別れる!」
「どうして・・・・・・」

 星汰はわけがわからず、慌てて追いかけてきた。
 つきあっていた彼女の話ばかり聞かされて、限界になって別れた。