校門を出てすぐに聞こえて、心臓が跳ねた。

気配を消して声をかけてくるのやめてほしい。心臓が痛い。

「百面相してる」

「……いろいろあってね」

「それって美衣ちゃんが悩むことなの?」

確かに、言われてみるとそうだけれど。
わたしはそういうところをすっぱりと切るのが苦手だ。

「悩んで解決するなら良いけど、変わらないなら悩むの止めたら」

「……うん」

「どうにもならないときだってあるよ」

翼が少し動く。その動作を見ていると、慧斗がにこりと笑った。

「美衣ちゃんのそういうところ、好きだけどね」