あのふわふわな毛。ぴんと立った耳。大きな瞳と鬚。

赤い首輪をしているなんて、もっと可愛くなっただろうな。オスらしいけれど。

HRが終わって、ロッカーに行こうと立ち上がると、慧斗の元に数人の男女が寄って来ていた。
その中には慧斗の隣の席の女子がいる。

「望月くんて猫飼ってるの?」

「写真とか持ってる?」

「猫可愛いよね」

その会話を聞いて背筋が凍った。女子の情報の速さと耳の良さ。

普段そういうものから離れているので、目前にすると怖いと思う。

ささっと逃げて廊下に出た。